10年目のデルフト(オランダ)
無事に全行程を終えて帰国しました。今日から日本での通常業務に戻ります。
(といっても、都内での打ち合わせばかりで、本日は大学には行きませんが。。。)
途中で気が付いたのですが、留学から10年目となる節目の年でのオランダ出張となりました。
いろいろと思うところの多い出張となりました。
・お世話になった教授の退職記念講演
開催される国際会議中に、所属していた研究室の教授の退職記念講演が行われているということで、ご挨拶もかねて拝聴してきました。
これまでの先生のご功績というのは少なめで、どちらかというとコンクリートが経済にどれだけ貢献してきたかという点に力点が置かれた発表でした。
今後のコンクリート分野の研究の展望についてもお話しされていたのが印象的でした。
私が気に入ったスライドの写真を載せておこうと思います。
・国際会議での発表
最終日の発表ということで、聴衆は少なめで少し残念でしたが、全力で発表しました。
多くの研究がコンクリートのモデル化・理論化に関する発表が多い中、
私の発表はどちらかというと実務よりの異色の内容でした。
せっかくの機会なので、研究発表だけでなく、最近の日本のコンクリート分野の状況(品質確保の取り組みや、示方書の耐久設計の話)も盛り込む内容に変更しました。
その理由として、国際会議中の基調講演で諸外国の研究者の多くが「研究と実務が乖離している」ことに悲観的なことを言っているのを聞いたからです。
諸外国とは少し違う、日本の状況を知ってほしかったからです。
聴衆にはインパクトがあったようで、発表後はわざわざ私のところに来てくれて、「Excellent!」といってくださったのはうれしかったです。
・国際会議での座長
国内の会議での英語セッションの座長の経験はありましたが、海外の国際会議での座長は初めての経験でした。
とはいえ、特に変わったことはなく、無難にこなせたかなと思います。
機会を与えていただたことに感謝です。
・RILEM(国際材料構造試験研究機関・専門家連合)の委員会への出席(代理)
前川先生の代打として、MgOベースの膨張材料の委員会に出席しました。
会議の席には論文で名前をよく見る諸外国の研究者・実務者が多くいました。
留学時代に研究室でルームメートだった、中国人の友人や
留学時のオランダ人の指導教員も、今回は各国を代表する形で
同じ会合に出席しているというのが不思議であり、印象的でした。
日本から唯一の会議への参加者として、日本の現状や私の印象を伝えようと、
必死に討議に参加し、意見を述べてくることができました。
・その他
海外にいるからこそ、ゆっくり日本人同士で話ができるというのも、
海外出張の一つの魅力だと最近は思います。
石田先生(東大)、今本先生(理科大)、武田先生(明石高専)との4人での飲み会は楽しかった。
海外にくると日本の現状、日本人というのを強烈に意識します。
私もそう思ったし、他の日本人の方々も同じようなことを口にされていましたが、
やはり日本のコンクリート分野の研究レベルは総じて高いと思いました。
(諸外国の人たちが勉強不足なのか、日本人が英語で情報を発信していないからかは不明)
博士課程進学時、日本で進学するかオランダで進学するか迷いましたが、
改めて、あの時の選択は間違っていなかったと思うことができました。
逆に、海外(特に中国人)の勢いは脅威だと10年前よりさらに強く感じました。
争う必要はないかと思いますが、現状を知っておくべきかと思います。
海外に日本人が少ないのは問題だと思いました。
(同時期に国内外で会議が重なっているのは知っていますが。。。)
春日さん(三井住友)が、日本の代表として活躍されているのとはレベルが違いますが、日本人がなめられてはいけないと、私もこの短期間で存在感を示そうと強烈に感じました。
いつか、日本の小松といわれるような存在になりたいと思いました。
などなど、10年前と比べて、いろいろと変化を感じることができた出張になりました。
自身のバロメーターとして、また自分自身を省みることができるという意味で
このデルフト(オランダ)という場所は私にとって特別な場所です。
(新教会からの臨むデルフトの街並み)
追記:10年目にして、ようやく妻をオランダに連れていくことができました。一つ約束を果たせて良かった。
夏休みの過ごし方
今年のお盆休みは、静かな職場で溜まった仕事の処理に勤しみました。
学務関係の仕事、委員会資料の作成、報告書の作成、投稿論文の作成、論文査読、発表スライドの作成・・・。
いわゆる「夏休みの宿題」が溜まっていました。
某教授(おそらく小学校のお子さんがいる?)のSNSに
「夏休みの宿題多い…自由研究だけさせてほしい」という投稿がありました。
気持が分からないではありませんが、私の場合はそこまで嫌な仕事というわけではありません。
小さなことかもしれませんが、どんな形であれば、自分が必要とされている、貢献できていると感じているからだと思います。
「自由研究」関係でいえば、昨日・本日は、共同研究先との打ち合わせです。
自由研究は難しいですが、楽しいです。
先週は研究室の夏合宿がありました。私自身12回目(多い!)の夏合宿となりました。
修士課程の頃までは、同年代の友人研究室内にいたので「楽しい旅行」という感覚が強かったように思います。
博士課程の頃や教員になりたてのころは、責任感が芽生え始め、
「自分がやるべきこと」というのを考え、模索していたように感じます。
(このころが一番、夏合宿に参加することがつらかったかもしれません)
ここ数年は、大事なところは教員としての立場を意識して行動しつつも、
「自分自身が楽しもう」というマインドになってきました。
結局そのほうが、学生たちも責任感をもって事に当たれるし、
私自身も肩の力が抜けて勉強になるので、全員にとってプラスの要素が多いように感じます。
今回の合宿では、非常に多くの研究室外の方のサポートを受けました。
特に、私の身近な先輩である林先生、世界的に活躍されている春日さんの発言や行動にはあこがれや尊敬、感銘を受けました。
上記の過程ように、焦らず一歩ずつ着実に成長していきたいと思います。
最後に。
このお盆休みの期間に、もうすぐ帰国する留学生の家(寮の部屋)に招待していただき、昼食をごちそうになりました。
私は学生時代に留学生寮にRA(レジデントアシスタント)として住んでいた経験がありました。
当時は、このような機会は多かったのですが、久々のことで非常に懐かしい感覚でした。
教員として留学生(学生)を招待することはあるかなと思っていたのですが、
まさか教員になっても、このように寮に呼んでいただけるとは思っていなかったので、非常に嬉しいことでした。
(教員として見られていない!?)
今度は教員という立場で、彼ら留学生の日本での生活に満足してもらうお手伝いができたのであれば、この上ない喜びです。
前期終了(教育の振り返り)
本日から2日間。大学ではオープンキャンパスが開催されています。
私は初日の研究室紹介を担当しています。
簡単な実験を行ったり、数値シミュレーションを見せたりしながら、
高校生たちと対話しながらコンクリートの魅力を伝えました。
私自身が楽しかったし、それが伝わったのか、
学生や親御さんから、分かりやすかった、楽しかったと言ってもらえたのが嬉しかったです。(真に受けるタイプです)
今週は、留学生(修士学生)の最終審査会がありました。
私にとって初めての留学生の指導学生となりました。
言語の違いもそうですが、国民性の違いや、家族がいる学生という、
これまでとは違った指導の難しさがありました。
最後、もう少しディスカッションできればなという後悔もありますが、
次第点までは到達できたのかなと思っています。
これから、彼とは論文をまとめ上げる過程で、更なるディスカッションをしていきたいと思っています。
留学生といえば、今年はYCCSの講義(使用言語:英語)も1コマ任されました。
日本人も混じっていたので、
留学生と日本人の双方の意見交換ができるような講義が面白いかなと思って、
そのような講義構成にしました。
日本人学生には、私も昔は英語での講義はさっぱりわかっていなかったこと、
でも、だんだんとわかるようになっていったことを体験談として伝えました。
今の私にできること、私だからできることを精一杯90分つたえ続けました。
これも今学期、楽しい新しい経験でした。
その他にも、学部1年生の講義、3年生の学生実験(こちらは学生TAが主体)、などがありました。
振り返ってみて、改めて私は教育という仕事が好きだし、魅力を感じています。
後期は卒論生の活動も本格化していきます。
残り半年間も悔いなく過ごしたいと思います。
追記:今秋から妻と同じ職場で(事務員として)働くことになりました。
夫婦ともども、土木に面倒を見てもらって、感謝しかありません。
伝授(主に実験・調査系)
ここ数年そうですが、夏になると出張やら学外での会議やらで大学にいることが減ってきます。
7月に入り、大学にいない日も多くなってきました。
いろいろな人(研究室メンバー、家族等)に支えてもらいながら、日々仕事ができている状況です。
ただ、今年の夏は、学生たちへ、いろいろとノウハウを伝授することも、意識していこうと思っています。
第一弾は、7月の宮崎、熊本、沖縄出張。
どのように出張道具をそろえるか。どのように荷物を送るか。困ったときにどのように対応するか。。。。
100%完璧なマネジメントであったかは不明ですが、それなりにうまくできたように思います。
私の一挙手一投足を見て、何かしら感じてくれたり、得るものがあれば嬉しいです。
第二弾は、本日の生コン打設。気が付けば、研究室で生コン打設をしたのは本当に久しぶりです。(4,5年ぶり?)
型枠を組み上げるときの注意点。生コンをどう呼ぶのか。現場ではどのような指示出しをするのか。。。
私の指導学生をリーダーに指名して、実践させてみました。
当然ですが、成功した部分、失敗した部分、いろいろありました。
各々の立場で、メンバーはいろいろと感じ取ってくれたことと思います。
夏休みには
第三弾として、コンクリートのコア抜き講習。
第四弾として、重ね梁の載荷実験(それに付随してゲージやセンサーの貼り方、取り付け方等の伝授)を予定しています。
偉そうに書いていますが、多くは、前任の林先生や(博士課程時代にお世話になった)デンカの須原さんに教わってきたことです。
こうやって書いてみると、冒頭と同じですが、いろいろな人のお世話になって自分が成り立っているのだなと改めて感じます。
解析系は、また機会を考えてみようと思います。
34回目の誕生日
昨日で、34歳になりました。
一年前のことなのに、随分と前のことのように感じます。
昨年の誕生日の頃も、いろいろと感じていたようです。
教員生活5年目の節目の年。
昨年よりも仕事のベースが安定してきたように思います。
複数の企業や自治体と私主導で共同研究が行えるようになりました。
学外の方との連携が増え、私があまり手を出してこなかった研究領域や研究手法に手を出し始めています。
成長していくために、あえてこのような研究テーマを設定しているという側面もあります。
前川先生との連携も、本年度に入り随分と増えました。
共著での論文の執筆も増えてきました。
先生の講義にも聴講させていただき、知識的なこと、講義スタイルなど
いろいろなことを勉強させてもらっています。
理工系留学生の支援活動組織(ISL)もずいぶんと軌道に乗ってきたように思います。
最近では、ほとんど私が口を出さなくても自主的に活動をしてくれるようになりました。
妻も専業になり、私を支えてくれています。
食生活(フルーツ中心の朝食)が変わり、運動(週末のダンスと、日平均1万歩のウォーキング)も定期的に行うようになり、昨年から5㎏の減量に成功しました。
ここ1年(半年)で、やりたいこととしては、
1.自分の底力を押し上げるような勉強に時間を費やしたい
(論文での科学的な知識の向上、プログラミングの勉強、語学力向上など)
2.ここ数年の成果をとりまとめたような論文を書きたい
(特に、英語ジャーナルや論文集など)
3.妻との時間を大切に過ごしたい
(旅行などプライベートを充実させる)
4.(後輩)学生たちへの指導を例年以上に充実させる
5.健康体をキープする
でしょうか。
四捨五入して最後の30歳代。悔いのないように過ごしたいと思います。
相互扶助の関係
昨日、私が顧問をしている理工系留学生支援組織(ISL)と大学のムスリムコミュニティー(YOKOMS)の共催で以下のようなイベントが開催されました。
本学にはムスリムの学生が非常に多く、特に理工系には多く在籍しています。
「自分たちのことをもっと日本人に理解してほしい」というムスリムの学生たちの声にISLの学生が賛同し、全面的に協力する体制を整え、このようなイベントが実現しました。
私も学生時代に体感したことですが、留学生サポート組織といいつつ、実は所属している日本人学生が相当のメリットを享受しています。
留学生サポートとはいうのはハッキリ言って建前で、自分とは違う(国籍や専門性)学生同士(でも必ず共通点はある)が交流し、議論し、行動できる場があるというのが非常に大事なのだと思っています。
活動を始めて、もうすぐ3年。
学生たちが、いろいろ試行錯誤しながら活動をすすめていく中、新たなステージで一つ成功体験を築けたということが、私としては何より嬉しいことでした。
(私自身は、仕事で不参加。。。残念!)
心技体のバランス
食生活を変えたことは以前の記事で書きました。
4月に入り、妻が仕事を辞めたので、お昼はお弁当が多くなり、
外食が減り、随分と健康的な食生活習慣が構築できてきた気がします。
週末は私も料理をするようにしていますが、昨晩は豆腐でつくねをつくりました。
運動も大事です。新たな趣味を見つけたという話も以前この場で紹介しましたが、これも早いもので1年が経過しました。
最近のマイブームは、”万歩計”です。
妻は4年前から始めていますが、両親も私より先に始めています。
伊能忠敬をモチーフに、自分が歩いた距離に応じて日本地図が完成していくという万歩計です。
人間の達成感をうまく刺激する良い商品だと思います。
何年かかるか分かりませんが、日本地図完成を目指して歩こうと思います。
精神的な豊かさと言えるか分かりませんが、近くのフラワーセンターがリニューアルオープンしました。
年パスが発行されたので、2週間に一度くらいのペースで妻と通っています。
お昼やお菓子を持参し、広場にレジャーシートを広げてくつろぎます。
季節の花を観賞し、そのあと本を読んだり、仕事をしたり、昼寝をしたり・・・。
花にまったく興味がなく、花の咲く季節感もなかったのですが、
これだけ頻繁に通い、綺麗な花を見ると、花はもちろん、
植物の成長のスピードや、その周辺にいる動物(昆虫)などにも気がつくようになりました。
年齢を重ねてきたということも、これらの改善の理由の一つではありますが、
同じ時間でも、心と体にゆとりを持たせるひと工夫で、より豊かな人生が歩めるのかなと今は考えています。