Take it easy 第四章 ~研究・教育人生:序論~

憧れだった大学教員として歩み始めました。研究者・教育者として、己の在り方を日々模索しながら、向上心をもって過ごそうと思います。

定性的な実験

先週一週間、共同研究先の企業に缶詰で、学生と一緒に実験に没頭しました。

元々、日帰りのはずが、なかなか実験がうまくいかず、ホテルに泊まったり、

帰宅しても12時を回るなんてことを繰り返しました。。。

 

内容はコンクリートと地盤の連成実験です。

最近は、こういう類の研究(コンクリートと何かの力学的な連成問題)が好きです。

 

今回はあえて「定性的な実験」に注力しました。

(変形も一応測っていますが、主目的ではありません)

 

我々の研究分野の有名な研究で「後藤クラック」というひび割れがあります。

後藤先生が発見したコンクリート内部に発生するひび割れです。

 

後藤先生は、種々の工夫をしてコンクリート内部に入る(外からは見れない)ひび割れを可視化して、それをスケッチで描きました。

 

この結果は、いろいろな研究者に衝撃を与え、その後の研究の発展に大きく貢献しました。

 

前川先生とのディスカッションの中で、

「若い頃は定性的な研究に何の意味があるのかと思っていた」

というお話がありました。

しかし、「現象を観察し、スケッチするという行為によって客観から主観に変わり、論文になる」ということを教えていただきました。

当然、人が変われば見方が変わる。違う意見が出る。立派な論文です。

目から鱗でした。

 

現象を明らかにするため、周到に準備をし、当日に臨みましたが、

やはり想定通りにはなかなか行きませんでした。

ただ、学生たちは、そういう局面での私の行動を見て、いろいろと感じてくれたことが多かったようです。(後日、そのような感想を言ってくれたのが嬉しかった)

 

後藤先生のような論文が書けるかは分かりませんが、

また一つ、大事なことを学ばせていただきましたので備忘録として書き留めました。