講義の威力②
先週になってしまいますが、土木教室の助教4名(皆さん別の専門分野)で作り上げた、都市基盤安全学入門(学部1年生)の講義がありました。
決して100点満点の出来ではありませんでしたが、
いろいろと、今後の展開が期待できる講義になったのではないかなと自負しています。
都市防災を考えるためには、一つの専門分野だけが分かっていればよいわけでは決してありません。
専門技術の知識が必要なことは言わずもがな、そこに住む人(たまたまいる人)や土地の特性や歴史を理解し、その都市に潜む潜在的なリスクを把握する必要があると思っています。
1年生の講義ですので、まず防災という行為に関心を持ってもらうことに力点を置こうと考えました。
そのうえで、多角的に物事を見ること、論理的に物事を説明することの重要性や難しさを体感してもらうようにしかけました。
また、現場を見ることの大切さを味わってもらおうという工夫をしました。
具体的には、講義の2週間前(私の担当講義中)に本講義の概要(発表内容)を説明しました。
・防災対策を考える対象地区は横浜市中区(よく知っているところ)。
・各グループでコンセプト(ペルソナ)を設定し、それに基づいた防災対策を提案する
・現地調査を推奨
・任制度を設け、1回以上担任の助教とディスカッションする
何でもかんでも、防災対策するというのでは議論が発散してもらうので、
コンセプトを明確にしたうえで、防災対策を論じてもらいことにしました。
我々助教の教員陣も初めての形式の講義なので、
どうなるかなと思っていましたが、心配を良い意味で裏切られました。
各班、いろいろと調べてくれて、個性的な防災対策をいろいろと提案してくれました。
質疑応答も学生たち自ら積極的に行ってくれました。予想以上に質疑がみなさん上手で驚きました。
それだけ、今回の課題に真剣に取り組んでくれた考えてくれたということだと思います。
講義後のアンケートには、ポジティブな意見が多くみられました。
専門科目の導入時期に位置づけられる講義として、いろいろと布石が打てたので良かったかなと思います。
助教の先生方でミーティングを開始したのが、講義当日の2か月くらい前からでしょうか。
決して順風満帆に講義プランができあがっていったわけではありませんでした。
教室の上司の先生方にインタビューもしました。
我々大学教員という職業は不思議なもので、教員免許がありません。
当然、実習期間もありません。
しかも、人がどのような講義をしているのかというのを知る機会は基本的にありません。
そのような状況で、いきなり人前で講義をすることになります。
助教の先生方は、みなさん教育が好きでこの仕事を選んでいるわけですが、
このような背景から、共通して不安も感じています。
でも、少しずつ自らの知識や経験を共有し、意見を交わすことで、
次第に講義内容が精査され、形をなしていくプロセスを体験することができました。
これまでも、講義はいくつか行ってきましたが、これまでにはない新鮮さを味わうことができました。
このような機会を与えていただいた、上司の先生方に感謝するとともに、
これからの若手教員は、これまでの常識にとらわれず、自由に研究・教育すべきだなと思いました。